たー君はスクールへ自転車で行く。
たー君の小学校の隣の小学校まで自転車で10分くらい。
練習開始の15分前に家を出ていく。
その姿をいつも見送っている。
トライアルコートを着て、ネックウォーマーをして、トレシューを履いて、前かごにサッカーボール、背中にリュックという姿。
どこからどう見てもサッカーしていますと分かる。
「いってきまーす」と大きな声で出ていく。
一緒に見送ったママが「かっこいいね」と言った。確かに格好だけは一人前。
スクールを見にいく。たー君がどの程度ボールに触れているか確認しにいっている。
練習、ミニゲームを見ているとボールを追っかけて右往左往することがなくなった。
ボールが来たら止める、ボールを触って動かす、ボールの触り方も踏んだり、はたいたりできるようになってきた。
ボールに全く関与できていないことを、ゲームから消えるという風に言うけど、小学校低学年では、ドリブルうまくてゴリゴリ行く子だけ目立つ。
ミニゲームで、その子がボールを持つとシュートを打つまで他の子は関与させてもらえない。
たー君もほとんど消えている。たまたまボールがこぼれてくれば触れるという状況。こぼれてくれば、何かしようとする。
たー君と同じ練習グループには、女の子が1人か2人いる。ボールタッチもしっかりしているし、足下の練習をしているのが見て分かる。そんなこの子たちも、ミニゲームでは遠慮がちに見えるし、消えている。
子供達がボールを追っかけて攻めたり、守ったり。
ドリブルゴリゴリ君がまたボールを持った。どんどんボールを運んでいくけど、相手コーナー付近に追いやられて角度のないところから無理やりシュートを打つ。
そのシュートは枠にはとんでいかない。ゴール前を横切っっていく。
その時、景色が「動」から「静」に変わる。
女の子が左足インサイドでピタッとボールを止めて、その後右足インサイドでボールを落ち着いてゴールに流し込む。
たー君が、一番後方で両手を広げて「イエーイ」と大きな声を出した。
小さな子たちのスクールの風景。ここにもフットボールがある。
たー君も今フットボールをしている。