運動神経中の下の子が少年サッカーするってよ。

小2からサッカーを始めた運動神経イマイチなたー君(中1)の、ジュニアユースでの自然体なフットボールライフのブログ。

2018ワールドカップロシア サッカー日本代表ーベルギー戦を私はこう見る

 ワールドカップロシアで日本はベスト16で敗退しました。ベスト16でのベルギー戦についてはあらゆる報道、論評で称賛されていますね。けど、今風に言うところで、かなり盛られた内容になっていると感じています。

 

 まず、ベルギーというチームですが、このチームは現在プレミアリーグのビッグクラブで柱となるタレント揃いの黄金世代です。現在FIFAランキング3位です。ですが、国際大会での実績はまだ出していません。

 4年前のワールドカップブラジルでは、期待されてベスト8、2年後のEUROはもっと期待されたけど、ウェールズにフィジカルと内容で圧倒されてベスト8でした。私の中では、強いけど実績を残したことがないチームで、世界最強クラスに力を発揮するチームという感じはしません。国際大会で不安定なチームという印象です。

 

 そのベルギー相手に2-0で勝っている場面から見ましたが、アドバンテージがある立場でうまく守って対応しているなというより、圧力で押し込まれてあたふたしているなと思いました。

 フェライニとシャドリが交代で入った後は、日本のPA内が混乱していきます。

 

 フェライニボランチで入りましたが、取ったポジションは長友選手の目の前です。長友選手はマッチアップで全く勝てないというか足が出ません。フェライニは余裕でポストプレーをします。最初のワンプレーで俊敏性を体現する日本の左サイドは陥落してしまいました。強みが弱みになるのは一瞬でした。

 フェライニポストプレーをしてアザールが衛星のように動いてパスをもらってPA内に崩しに入ります。

 何度もシュートまでもっていかれます。


 シャドリは左サイドに張りました。その対応に高さのある酒井宏選手が釣り出されてPA内の制空権はベルギーに握られました。

 両サイドを支配されて日本の4バックが横に広がってPA内の隙間が大きくなっていきます。綻びが大きくなっていきます。

 ベルギーに両サイドを支配されたのが致命傷でした。この綻びを修正することはできなかったのでしょうか。

  

 それを見ていて、あれ、これって2006年ワールドカップのオーストラリア戦、2014年のコートジボワール戦と同じになるなと思いました。オーストラリア戦ではケネディとケーヒルコートジボワール戦ではドログバが入った後です。結果、2点のアドバンテージを30分間で2-3にひっくり返されました。

 世界と互角、肩を並べそうだった、夢を見たという論評が多いですが、日本は2006年オーストラリア戦、2014年コートジボワール戦と同じ試合運びで、ベスト16で負けたってのが事実です。ああ、また逆転負け。

「世界との差。何が足りないんでしょうか。」

「うまい試合運びでしょう。」

 

 「感動した。」「夢を見た。」とか美談に3回目の逆転負けという現実が隠されてしまっているような気がしてなりません。


 2-0になった後の試合運び、終わらせ方。ポーランド戦の終盤のパス回しの時のような議論が紙にもネットにも載りません。

 試合運びと時間稼ぎと守備の修正。敗因がもっと議論されてもいいんではないかと思います。

 ベスト16で負けた他の国でヒーロー扱いされて帰国した国はないでしょう。


 サッカーが議論されるんではなくて、ワールドカップが論じられるので、美談から4年後の話になっています。 

 目の前のJリーグでどういうサッカーが求められるかの話をしないといけないんじゃないでしょうか。

 

 逆にベルギーは、0-2から2-2にするための戦略が見えていて、2-2になった後も、90分のうちにあと1点取って試合を終わらせようと、ゴールの枠内にジワジワとフィニッシュの照準を合わせながら攻めているようでした。


 日本の両サイドは掌握している。PA内はガタガタだ。得点できる基点は作ったから迷いなく点を取って試合を終わらせる。全力で点を取りにいくんではなくて、仕留める瞬間を探っているように見えました。

 レギュレーションをうまく利用することを戦略とか言っている国は延長戦で粘ろうぐらいの考えだったんでしょう。

 

 最後まで諦めないとかそういう精神論的なことではなくて、90分のうちに相手よりも1点多く獲るのがサッカーだと。

 それがヨーロッパでの基準で、それ以外に何をするんだ、そのために何をするんだとジュニアの頃からサッカーを染み付かせていくのかなと思いました。

 3点目となったカウンターも、右サイドの空いたスペースに人が走ってパス、トラップ、ドリブル、センタリング、ニアがスルーして、左サイドからPA内に走り込んできたファーがシュートしてゴール。

 練習みたいな縦に早いごく普通の速攻でした。ベルギーらしいゴール、ベルギーらしいサッカーっていうわけでもないと思います。

 ゴールするためのオーソドックスな方法のうちのひとつという感じでシュートまで持っていきました。

 

 それでも、日本はパスをしっかり繋ぐこと、俊敏性を活かしたサッカーをこれからも追及していくのでしょう。多分、ジュニアの育成にも影響していきます。

 何をするのでしょうか。ドリブルとバルサみたいなパス練習でしょうか。サッカーを議論しての育成方針ではなくて、ワールドカップの美談を議論した方針では心配です。

 

 それよりも試合終了までに相手より1点多く取って試合を終わらせることを第一の目標としてジュニアの子達に染み付かせることを考えた方がいいんじゃないでしょうか。

 勝利至上主義とかそういうのではなくて、サッカーとはゴールを奪うこと、ボールを奪うこと、そして相手より1点多く得点してそのまま試合を終わらせること。

 そこには戦略があって、戦略のかけひきの応酬にサッカーの楽しみがあって、それこそインテリジェンスで、その土壌が欲しい。俊敏性とパス主体はその上に乗るものだ。

 

 ワールドカップに出るんだとか。日本代表になるんだとか。そのためにどこそこのセレクションに受かるんだ。トレセンに入るんだ、スーパーキッズだとか、受験みたいなことではなくて。

 ジュニアの時はサッカーを、サッカーとして楽しみ、インテリジェンスを育む時期であって欲しいと思います。