「バッハ、ベートーヴェン、ブラームス、メンデルスゾーン、ワーグナー、シューマン」
「ぴょん子ちゃんのママはカノン練習しているんですよね。パッヘルベルですね。ドイツの音楽家ですよ。」
ぴょん子が習っているピアノの個人教室の先生との雑談です。
ピアノ教室にある音楽家の伝記の表紙をめくったページに歴史的作曲家の出身がヨーロッパの地図に点在して示されていて、とにかくドイツが多かったのを目にした私が、
「ドイツって有名な音楽家が多いんですね」
と聞いたところから始まった話しです。
このピアノの先生の家族はサッカー選手だったそうです。
ヨーロッパに音楽留学に行った時にはドイツに住んだことがあって、ブンデスリーグも見にいったことがあると言っていました。
ブンデスリーグやホームゲームがある日の街の様子も雑談でしたことがあって、ぴょん子はピアノを習って、私はドイツの生活や文化をいろいろ教えてもらっています。
ドイツって歴史的作曲家が多いんです。日本よりもずっと生活の中で音楽が親しみやすくて、習いたければ、いろんなところで、若い人も高齢者も習えたりする。小さな街に行っても音楽堂があってオーケストラのコンサートも身近なんですよという話しを聞くのが面白いです。
一般的にドイツのサッカーは屈強な男が力まかせにボールを奪って、力まかせに点を取って勝つためのサッカーをすると言われているけど、私の認識は少し違います。
ドイツのサッカーはパスワークのリズムがいい。ロングパス、ショートパス、ダイレクトパス、縦ポンパスもいろいろ混ざって一本調子ではない。
ロングパスでゆっくりだと思ったら、ダイレクトのショートパスでリズムを一気に上げてスイッチが入る。
ドリブルも直線的だけど、手足の長さを活かした緩急のある独特なリズム。
シュートは間を突然外したようなタイミングで強烈だったりする。
私の勝手な想像だけど、ドイツのサッカーの強さは音楽の理解度と関係しているんじゃないかと思います。
日本にはメッシの2拍子ドリブルというのがあるらしいですが、この2拍子の1小節の中で使うのは、4分音符ですか?8分音符ですか?2分音符ですか?1小節の中でどの音符をいくつ数える2拍子ですか?
ぴょん子は楽譜を読む基礎を学んでいるので、ピアノのレッスンで毎回こんなことを聞かれては答えたり、書いたりしてピアノを弾くのです。私はその隣で先生の話を真剣に聞いています。
メッシの2拍子ドリブルとは音楽的にどんなリズムなのでしょうか。
そしてここから私の妄想です。
ドイツの生活の中に音楽が根付いていて、もしドイツのサッカー選手に音楽的なリズムやテンポの基礎が自然と理解されていて、試合のリズム、パスワークのリズムを指揮できれば、2拍子ドリブルを音楽で語れない日本はリズムについていけるわけないなと思います。
ヨーロッパはプレースピードが速いと言われますが、これはスピードじゃなくて、音楽的リズムの理解度かもしれません。
ドイツのサッカー選手で音楽を理解している人が多いかどうかは定かではありませんが。
ただ、指導者(コーチ)で音楽の理論を理解している人はいそうだなと思います。
音楽の理論を理解したうえで、サッカーに落とし込んでパスワークや攻撃のリズム、組織的なプレスの統率なんかを指導できる指導者が多くいて、ジュニア、ジュニアユース、ユースと育成がされていくと、成熟する頃には交響曲のようなサッカーができるのが、ドイツ的なのかなと想像します。
そんな話しをピアノの先生にしました。
先生は、
「あー。よくわかりません。」
と。
けど、その後に、
「ベートーヴェンの音楽はパワーが凄いんです。ジャジャジャジャーンの運命は4分の2拍子でシンプルこそのパワーが込められた小節なんですよ。」
メッシのドリブルって強引さがあって単純で力強く見えるな。2拍子ドリブルってそーいうことか。
1年近くピアノレッスンに付き添ってぴょん子と一緒に音楽の勉強をしていますが、学ぶことがすごく多いです。
様々影響を受けて、たー君のサッカーの自主練習の考え方とか接し方だとか、私の間違いだらけのやり方が革命的に変化したのは確かです。