劣等感で自信を失くしているたー君が年中から様子が少しずつ変わっていきます。
年中:
年中になると園の子供たちの能力が伸びてきて、できることが増えてきます。絵がとてもうまい子が出てきました。
園での遊び時間では、絵がうまい子を中心に絵を書くグループができているようで、たー君もその中の一人でした。
その子のパパも絵がうまいらしくて、パパが書いた絵、子供が書いた絵をたー君にくれたそうです。見ると年中の子がこんな絵を描けるのかと、絵が下手な私より当然上手でした。
たー君も絵を描いて渡すということで、年中になってから家に帰ってきては絵を描くことに没頭する日々でした。私は絵が下手なのですが、一緒に描かされました。
家で書いていたたー君の絵も最初は、〇と△と線と点でぼんやり何か分かる程度だったものが、段々と書いたものの特徴が出てきて書いたものが何か判別できるようになっていきました。
どうやら、絵がうまい子が書く絵は少し難しいけど、それをまねしようとするうちにたー君の絵心が伸びていったようです。
それと強く興味を持って本を読み続けてきた生き物の姿、形が頭の中に記憶されていてそれを絵にして再現できる能力が伸びていっているのが分かりました。
好きなことで伸びていく子供の成長には驚かされます。ただ、生き物以外の絵は、興味がなくてほんとに下手っぴというか、絵になりません。
私は、シン・ゴジラの庵野監督が小さい頃から機械とロボの絵が好きでそればっかり書いていたら機械は精密な絵が描けるが、人の絵が描けないという話を聞いたことがあったので、
たー君に、「動物と虫と恐竜の絵をいっぱい書きなよ。」と言いました。
好きなものの絵を描いて、偏っていても突き抜けて欲しい。優劣とか関係ない自分らしさがひとつ増えれば自信につながるだろうという思いもありました。
年中の活動の仕上げの発表会では、年長の集大成の発表も見れるのですが、体操の内容を見ると1年後たー君はこれをできるのだろうかと、正直心配になりました。
年長:
年長になると、少し様子が変わってきました。いろいろな行事でたー君が代表してあいさつしたりする機会が出てきました。前に出てくるような子ではなかったのに、年長の時はいろんなことをさせてもらえて恵まれているなと思いました。
たー君の様子も自信なさそうな顔から、明るい顔に変わっていました。
どうやら、虫が触れたり、ザリガニが触れるということで年長クラスで生き物係を任されたようです。カブトムシの世話をしたり、飼い方を皆の前で説明することもあったようです。得意分野で認められている。初めての優越感だったのだと思います。
これも、たまたま年長の時の担任の先生が、たー君が生き物の話をしていて、よく知っているようだからお願いしてみたということです。ほんの些細なきっかけだったようです。
年長の○○式教育の取組みはかなり濃くなるのですが、それに合わせてたー君も体操が上達していきました。体操については控えめだったのに、家でも自分から練習したり、できることをパパママに見せてくれます。
年長の仕上げの発表会の時には、全員でやる体操種目は全部成功して、最後の見せ場にも選ばれて参加できました。
三転倒立をしてコーンの代わりになって逆立ち歩きができる子がその間をスラロームしていくという場面です。
年少の時に「僕は負けるんだ。弱いんだ。」と言っていたたー君が運動神経最上級の子(うち君)の見せ場の脇役になるなんて1年前には思いもしませんでした。
発表会が終わるとあちこちで保護者がわが子を褒めています。親元に戻ってきたたー君へ私は敢えて、「まだまだできるんじゃないか。限界まで頑張ってないな。」と尻をたたきました。たー君は、ちびまる子ちゃんのマル男君のように目の下に線が入った顔をしていました。
私も褒めてあげたいという気持ちでしたが、小学校行ってからも頑張ってなというエールにしました。
〇〇式教育を通じて読み書き計算、運動、創作と鍛錬されます。小学校に向けての素地はしっかりつくと思います。また、子供達の競争心も成長を促すしかけなので見ていると優劣がはっきり分かります。ただ、切磋琢磨するので、一体感も見てとれます。保護者はその優劣と子供の成長に一喜一憂します。
ジュニアサッカーでも同じですが、体操で言えば、運動神経上級ならできる子はできるのです。できる子を見て「あなたも負けるな。」と言う保護者もいると思います。私はそうしませんでした。それはたー君には無理強いだと思ったし、今もそう思います。
幸いたー君の場合は、友達や先生と関わりながら自分の生き物好きな部分が認められて、自信を見つけ出したようです。
それもあって、運動神経上級の子ができる体操の優秀さを素直に認めて褒めていました。対抗心でなはくて憧れにして体操に取り組むというような感じでした。
競争や優劣という環境で負けん気が育まれると思いがちですが、たー君の場合は、他人の優秀さを認めて受け入れる素直さとそれに近づきたいとする前向きさが芽生えたように思います。
年少、年中、年長で体験することを自分の性格に合った捉え方をして精神面が成長して、能力を伸ばしたように思います。
〇〇式教育は未就学の子が信じられないレベルのことを披露します。その信じられない場面に感動をします。汗と涙の努力も伝わってくるので大きく感動をします。
なので、小学校に入ってからのわが子の様子に活気のなさを感じる保護者もいるようです。この辺は、未就学時の特化された教育と、公立の義務教育は質が異なるものなので、仕方がないと思います。
未就学の頃は神童だけど、小3くらいになると並になるとか言われるのと関係しているように思います。
その辺りは、私は了解ずみなので、未就学の時は素地であって、その上に小学校でどう伸ばしていけるかは遠目で観察中です。
未就学期はこれで終わって、小学校に入ってから編はまた続きで書きます。